お墓選びの考え方は?【全ての論点を整理】何を考えればいいのか

お墓のこと

今回の「お墓オンライン」は、シリーズ最後の記事です。

テーマは「お墓選びの考え方」。

これまで出てきた、お墓選びに関する論点を総まとめします。

お墓の「費用」についての考え方
  • お墓の準備には百万円以上かかる
  • お墓を建てた後は維持費がかかる

お墓の「管理」についての考え方
  • お墓の管理義務は後世に残る
  • 立派なお墓ほど子孫に負担増

「お寺のお墓」についての考え方
  • お寺のお墓は檀家だんか契約、家単位
  • 檀家はお寺への経済支援が必要

現代的な「霊園」についての考え方
  • 霊園は核家族化した現代社会向き?
  • 霊園の管理料は安いがデメリットも

時代は「納骨堂」「樹木葬」「散骨」へ
  • 納骨堂・樹木葬は価値観の反映
  • 散骨・宇宙葬も故人の証となる

このような論点を整理します。

お墓のことを考える際の最重要ポイントなので、ぜひ皆さまの価値観と照らし合わせてください。

そして最良の方向性を見出しましょう。

お墓の費用についての考え方

お墓を準備するとなると、平均140万円〜170万円ほどかかります。

多くの場合は、同時にお葬式費用で200万円ほどかかるのも一般的です。

つまり、人生のエンディングイベントには、400万円近くの準備が必要。

まずは、ここがお墓に対する考え方のスタート地点です。

お墓の管理義務についての考え方

一般的には必要資金が400万円としても、その内訳は割と自由に調整できます。

おさえようと思えば、お墓も葬儀も数十万円でおさめることも可能です。

しかしお墓は、目先の初期費用だけで考えるべきではありません。

理由は「お墓には管理義務が発生する」という根深い問題が眠っているからです。

「根深い問題」とは、お墓の管理義務は、後の世代に「法的に」引き継がれていくことを差します。

お墓の管理義務
  • 年額1万円弱の管理料の支払い
  • お墓の衛生管理、定期的な清掃
  • 維持の負担と、墓じまいの悩み

これらが、親族に限らず、必ず誰かの義務として承継され続けるのです。

管理義務の話を、さらに深掘りしてみます。

管理料の未払いを肩代わりするケース

例えば、たかが年額1万円の管理料、それと年に数回のお墓掃除、と思える直系血族の人なら、一見、問題無いかもしれません。

しかし、ある世代が長期間未払い状態で放置していた場合、その間の未払い分も全額肩代わりしなくてはならない状況になったらどうでしょう。

「突然、いわれのない支払い義務を負うことになった」と管理料の支払いにネガティブな対応を示す継承者は、当霊園でも少なくありません。

物理的に管理ができないケース

また、お墓の場所が遠いことで問題になることも頻繁にあります。

結婚や仕事の事情で、人々の居住場所が、都心・田舎・海外などと、この先さらに流動化が加速するのはもはや疑う余地がありません。

仮に、立地の利便性に最大限の配慮をしてお墓を建てたとしても、それが数世代後の利便性を保証するか否かは全くの未知数です。

墓じまいを強いられるケース

祖父母レベルのお墓の管理ならまだしも、脈々と続くのが世代交代、いつか「お墓の管理をやり切れない」といったタイミングが来るわけです。

しかもその場合の、お墓を手放す手続きや費用は、現役の当事者が負担することになります。

これが「墓じまい」と呼ばれる問題です。


この問題を前提にして、お墓選びは、自分の価値観と将来世代との時間軸とを掛け合わせて考える必要があるのです。

お寺のお墓についての考え方

管理承継について、やや悲観的な説明になりましたが、一方で、お墓を持つということには「供養の対象が明確になる」というプラスの側面があります。

その「対象」を「家」に向けるのか、「個人」に向けるのかで、考え方が分かれてきます。

供養の対象を「家」に向ける場合は、お寺にお墓を持つ選択になります。

お寺は檀家制度が基本

寺院墓地の場合は、「お寺が家系を全面的に供養してくれる」という、最上級の施しに直結します。

お寺から特別対応とも言える手厚い保護を受け、反面、一家はお寺を経済的に支援するパトロンとなる。

これが江戸時代から続く、日本の檀家だんか制度です。

お寺にお墓を持つべき人

お墓を持つ以上は、その管理義務は歴史であり文化である、と考えられるなら、お寺は一家の支えとなり、他の選択肢では得られないメリットを受け続けることができます。

そのような価値観の方であれば、檀家の身分をもって一家の発展をお寺に委ねる、そんなお墓の持ち方が最適と言えるでしょう。

霊園のお墓についての考え方

そして次は霊園についてです。

霊園の考え方

お寺は「家単位の檀家制度」といったお墓の持ち方でしたが、霊園は「愛する故人との関係」を確認できる場所、と考えられます。

霊園は納骨施設

お寺はどこまでいっても仏教施設ですが、霊園は純粋なる「墓地」であり「遺骨を納骨する施設」です。

したがって、訪問すれば故人に手を合わせられる、そのこと自体に重きを置くスタンスが霊園。

当霊園でも、「〜家の墓」といった墓標は少数派で、あくまで愛する身近な故人を供養する方が多数を占めています。

霊園にお墓を持つべき人

夫婦・親兄弟・子供など、人生を共にした故人との関係を重視する人なら、方向性としては霊園の選択になるでしょう。

また、檀家・寄附・仏教、といった面でお寺との関係に重荷を感じる人もまた、それらがない霊園を選んでいくことになります。


お墓選びには、さらなる選択の広がりがあります。

樹木葬・納骨堂・散骨の考え方

「納骨堂」と「樹木葬」は、お寺や霊園が提供する現代的発想のお墓。

そして残る「散骨」は、そもそもお寺や霊園の制度から解き放たれた、我が道を行くスタイルと言えます。

納骨堂を選ぶべき人

納骨堂は、伝統と合理性の融合、と表現できます。

以下のようなフレーズに共感できる人は、納骨堂を選ぶべきタイプと言えるでしょう。

納骨堂を選ぶべきタイプ
  • ある程度はしきたりや伝統に従って生きてきた
  • 反面、子供達にそれを強制するのは気が引ける
  • 最近はみんな納骨堂だよと言われると心が傾く

既に、一般墓よりも納骨堂を選ぶ人の方が多くなっているのが現実です。

樹木葬を選ぶべき人

樹木葬は、納骨堂よりもさらに合理的です。

以下のフレーズに親和性が持てるタイプなら、樹木葬を選ぶべきでしょう。

樹木葬を選ぶべきタイプ
  • 仏教的な来世観に縛られることに違和感がある
  • 墓石に数百万円もかける必要性を全く感じない
  • 残された家族にも経済的な負担をかけたくない

亡くなった後は、直接関わった近親者に供養されればよく、十数年後くらいには永代供養をしてもらって何ら不満はない、といった考え方がベースになります。

散骨を選ぶべき人

そして最後は「散骨」です。

焼骨・遺骨の扱いには法律上の制約があります。

その法律にさえ抵触しなければ、好きなように「骨を散らしたい」といった、究極の来世観を持てる人が選ぶべきスタイルです。

散骨を選ぶべきタイプ
  • 故郷の海や、大好きなハワイや沖縄の海に撒かれたい
  • 花や緑に囲まれて四季も感じられる山と一体化したい
  • 宇宙葬で、家族には空に向かって手を合わせて欲しい

さて、皆さまの価値観はいかがでしょうか。

お墓選びは「べき・べからず論」ではなく、それぞれの環境に合った、それぞれの選択をすることが重要です。

この「お墓のやさしい解説」シリーズは、全編を読むことでお墓選びの論点が網羅できますので、迷った場合はトピックを振り返り、自分らしいエンディングストーリーを完成させていただければ幸いです。

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