菩提寺とは
菩提寺とは、自分の先祖のお墓があるお寺のことを言います。
かかりつけのお医者さんや、学校の恩師と同じようなイメージです。
何かあったときに頼れる存在が菩提寺だと言えるでしょう。
例えば、
- お葬式や法事の依頼をする
- 戒名やお墓の相談ができる
- 仏壇の開眼供養を依頼する
など、仏事全般の拠り所となる日常的な存在が菩提寺です。
檀家とは
一方の、檀家とは何なのでしょう。
檀家とは、お寺と檀家契約を結び、そのお寺の会員となる制度的な意味合いを含みます。
檀家契約により、そのお寺(檀那寺)との関係がはっきりします。
さらに、入檀料や寄付などで、檀那寺との関係はより一層明確に。
結果、やはり葬儀や法要など、あらゆる仏事を檀那寺に頼むことになります。
簡潔に説明するとこのような感じです。
菩提寺は「お墓があるお寺」「法事でお世話になるお寺」という日常的な感覚のもの。一方の「檀家」は、入檀料やお布施・寄付などが発生する「檀家契約」という制度に基づくものです。
「菩提寺」という表現はややのんびりとした使われ方をします。
「檀家」という表現は厳密な定義を持って使われます。
とはいえ、両者に意味の違いがあるような、無いような・・
もう少し掘り下げてみていきましょう。
檀家とお墓
今の時代、これから檀家になろうとする方の多くは、
お寺にお墓を建てたいから、
という理由がほとんどでしょう。
霊園や納骨堂ではなく、従来型の寺院墓地を望む場合は、そのお寺の檀家であることが条件だからですね。
檀家になる理由
ではなぜ、檀家になってまで寺院墓地を望む人が多いのでしょうか。
その主な理由は次のとおりです。
実際のところ、
- 馴染み深い身近なお寺で、
- よく知っている住職から、
- 手厚く供養してもらえる、
という安心感のメリットは計り知れません。
さて、檀家って簡単になれるものなのでしょうか。
何となく敷居が高いイメージを持つ方も少なくないと思われます。
次は、檀家になるにはどうすればいいのかをみてみましょう。
檀家のなりかた
檀家になるには、
これで成立。
ほぼ手続きだけです。
思っている以上にあっさりと檀家になることができます。
仏門に入るわけでもありません。
厳しい修行が待っているとか、お経を覚えなくてはならないとかもないので心配無用です。
檀家になるのは難しくない
檀家離れが進むのが現代の傾向なので、お寺側としては、檀家になりたいという人がいれば、基本的には歓迎してくれます。
檀家になるとどうなる?
檀家になると、お布施や寄付でお寺を経済面からサポートするという立ち位置になります。
ここは詳しく理解しておいて方が良いので、後半で詳しく解説します。
檀家と仏門
檀家になった見返りとして、
- お寺から墓地を譲ってもらったり
- 故人の供養を手厚くしてくれたり
- 様々な人生相談に乗ってくれたり
そんな関係が、お寺と構築されます。
そして、亡くなった時に仏門に入り、仏教徒となって極楽浄土に導かれるのです。
これを「葬儀仏教」などと表現することがあります。
檀家の注意点
檀家になるのは簡単とはいえ、注意したい点もあります。
例えば、自分の家系に宗派がある場合などは要注意です。
その場合は、同じ宗派のお寺で檀家にならないと、後々、親族との揉めごとに発展しかねません。
■寺院数順
- 浄土真宗
- 曹洞宗
- 真言宗
- 浄土宗
- 日蓮宗
- 臨済宗
- 天台宗
■教徒数順
- 浄土真宗
- 真言宗
- 浄土宗
- 日蓮宗
- 曹洞宗
- 天台宗
さて、次は費用面でも知っておきたい点があります。
少し詳しく見ていきましょう。
入檀料の相場
まずは入檀料。
入檀料の相場は、10万円〜30万円です。
総本山や大本山といった格式の高いお寺なら、相場よりもさらに高額になります。
入檀時だけではなく、将来檀家をやめたい場合(これを離檀といいます)、離檀料がかかるケースも大半です。
離檀料も大体10万円〜30万円が相場です。
檀家とお布施
お盆やお彼岸、年忌法要などで法要を執り行うときはお布施が必要です。
一回あたり3〜5万円が相場です。
お墓の管理料
多くは年間管理料という名目で、年間1〜2万円ほどかかります。
同じお寺でも、お墓の占有面積によって値段は上下します。
敷地内の備品や設備、清掃費用などに使われます。
檀家と寄付
檀那寺の本堂改修時などは、その改修費用の寄付が募られます。
この類の寄付は、単なる慈善的な寄付ではありません。
この場合の寄付は、お寺を支えるサポーターとしての重要な役割という位置付けです。
檀家の継承
費用面はさらに慎重な検討が必要です。
ただ単に皆さん自身が費用を負担できればいい、というわけではありません。
檀家としてのコストや義務は、子々孫々と継承されます。
具体的には、法律上の被相続人が「祭祀承継者」という立場で、好むと好まざるとにかかわらず義務や費用負担を引き継ぐことと決まっています。
離檀の課題
例を挙げてみてみましょう。
などなどで、将来「離檀」を決断しなくてはならない子孫が出てくるかもしれません。
離檀する場合は、離檀料を払い、今あるお墓を撤去して更地に戻す負担も出てきます。
離檀料は大体10〜30万円、お墓の撤去費用は石材店にお願いして、さらに10〜30万円かかります。
檀家の義務
さて、費用面を見てきましたが、お布施や寄付などは、絶対に払わなくてはならないものなのか、モヤモヤとした感覚になりませんか。
お布施や寄付は「あくまで気持ちなので、義務ではありませんよ」などと表現されるのでやっかいです。
この点は、結論は明快です。
お布施や寄付を納めないからといって、法的措置がとられる類のものではありません。
しかし、檀家となっている以上、お寺は手厚く檀家をサポートしてくれています。
お互いに持ちつ持たれつの関係なので、お布施や寄付は檀家の感謝の気持ちとして全面的に対応するべきものです。
どこまで行ってもモヤモヤとしている状態が正解と言えます。
檀家の現実的な存在意義
ここまで見てきてはっきりとしたかと思いますが、檀家になるということは、実はそのお寺の「経済的な支援者になる」という意味合いを強く持っています。
檀家の存在意義
もともと檀家制度は江戸時代に出来上がった制度です。
当時は、庶民全員が檀家になる必要があり、強制的なものでした。
その目的は、キリシタンの排除、お寺を財政的に潤わせること、庶民の戸籍管理など、政治的で行政的な意味合いが強かったものです。
それも明治維新で大きく変わり、今の檀家はその名残です。
現代はキリシタンを排除するなどあり得ず、また、お寺が戸籍管理をすることもあり得ません。
とすると、残ったのは財政支援という点。
と同時に、お寺は墓埋法という法律によってお墓を建てられる限られた場所として位置付けられています。
この2点セットで、現在の檀家制度は存在しています。
檀家のまとめ
以上、檀家をまとめると次のようになります。
現代社会と菩提寺と檀家
最後に、昨今の菩提寺や檀家の事情を紹介します。
「家」が中心
檀家制度は「家」にフォーカスしたもので、先祖から子孫を手厚く供養してくれるものです。
「個」の時代
ところが、檀家としてお寺を経済的に支援し、その見返りとして「〜家の墓」の存続を求める人は、果たして今の時代にどれだけいるのか、やや疑問ではないでしょうか。
「納骨堂」や「樹木葬」の時代
さらに、安定した存在に見えるお寺ですが、実は、現代のお寺の財政事情は深刻なケースが少なくありません。
墓地に空き区画ができれば、そのエリアは納骨堂や樹木葬に切り替えた収入に頼っているのが現実です。
「檀家」離れ
その理由はもちろん、時代は明らかに檀家離れの傾向にあるから、です。
すなわち、世間のお墓への考え方が大きく方向転換をしつつあるのが現代の流れとも言い換えられます。
「次の世代」の負担に配慮が必要
費用の面、墓じまいの面、お墓の管理義務の面などなど、次の世代のことまでを見据えて、ぜひ皆さまにとっての最適なお墓選びの方向性は何なのかを見出すことをおすすめします。
お墓選びの考え方を分かりやすく特集したシリーズ記事「お墓のやさしい解説」もぜひ参考にしてください。
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