今回の「お墓オンライン」は、法要・法事について解説します。
お葬式の後、開眼供養や納骨式、そして四十九日や初盆、初彼岸あたりまでが慌ただしく、そして経費も積み上がります。
この先、大切な人の供養の時や、自分自身のことを計画的に描くためにも、全体像をしっかりと整理してみましょう。
法要の全体像
お葬式が終わった後、法要は「初七日法要」から始まります。
その後、1年近くの間に、主に次のように流れていくのが一般的です。
最初の1年の法要
- 7日目初七日法要
僧侶に読経してもらう。
遺族、親族だけで行うことが多い。
会食をする。 - 49日目四十九日法要
僧侶に読経してもらう。
親族だけでなく、知人なども招く。
大規模な法要。
会食をする。
ここで、納骨式や開眼供養も行うことが多い - 満1年目一周忌
僧侶に読経してもらう。
親族、知人、友人まで招く。
大規模、会食をする。 - 初めて迎える
お盆初盆親族だけで行うことが多い。
- 初めて迎える
お彼岸初彼岸親族だけが多い。
約1年で、これだけの法要に備えておかなくてはなりません。
そして上記が終わった後は、以下のように数年ごとに「年忌法要」が続きます。
2年目以降の法要
- 満2年三回忌
僧侶に読経してもらう。
親族、知人、友人まで招く。
大規模に行う。
会食をする。満2年(2年目)に行うべき法要が三回忌、満6年で七回忌、以下同様となります。
- 満6年七回忌
遺族、親族だけで行うことが多い。
- 満12年十三回忌
これ以降は、遺族だけで行うことが多い。
- 満16年十七回忌
- 満26年二十七回忌
- 満32年三十三回忌
- 満36年三十七回忌
- 満42年四十三回忌
- 満49年五十回忌
法要とは
法要は儀式そのもののことです。亡くなった人の祥月命日に、僧侶にお経を唱えてもらい供養すること。法要は善行であり、その善行はやがて自分に戻ってくる、という考えで追善供養とも呼ばれます。
法事とは
一方の法事は、法要の後に会食などもして、その日1日を故人のために費やす、「法要も含めた全体的な意味合い」のことを言います。
一般的な流れだけでも計14回。
このあと具体的に紹介しますが、1回の法要でおおよそ20万円〜40万円程度の費用がかかります。
積み上げると数百万円にのぼる額になります。
初七日法要
では、最初の法要、「初七日法要」から見ていきましょう。
葬儀の後、初めての法要として「初七日法要」を行います。
初七日法要は最初の法要
初七日法要とは、故人が亡くなってから7日目の法要のこと。
命日も含めて7日目を指しますので、亡くなってから6日後に行うべき法要です。
葬儀で喪主を務めた人が取り仕切る法要ですので、喪主のお役目は途切れることがなく大変です。
この七日目は、故人が亡くなってから三途の川に辿り着くまでの期間と考えられています。三途の川を対岸まで無事に渡り切れるように、つまり故人がきちんとあの世にいけるようにお祈りをする、そんな位置付けの法要です。
初七日は葬儀が終わってすぐということもあり、また、この後に四十九日という大規模な法要が備えていることもあって、初七日法要は遺族と身近な親族だけで行うことが多いでしょう。
初七日法要の形式
この法要自体は、僧侶が遺骨に向かって読経し、参列者で焼香、その後、会食をする形式が一般的です。
初七日法要にかかる費用
そこでかかる費用は、お布施代や本位牌の準備費用、会食費や香典返しなどです。
初七日法要でのお布施代
まず、お経を唱えてもらう僧侶へのお布施が必要です。
その相場は、大体3万円〜5万円。
通夜や告別式のお布施の2割程度の金額が妥当と言われることもあります。
お布施は、お気持ちを包むものであって、読経などの対価とは考えられていません。対価ではない以上「お布施に相場はない」とも言われています。
初七日法要での会食代
法要が終わると、故人を偲ぶために会食をするのが一般的です。
墓地や霊園内の施設や、近くの料亭やホテルなどの会場費用がかかります。
お寺や霊園など、安いところだと数千円で会場を借りれますが、一般的には3万円ほどは見込んでおく必要があるでしょう。
料理代は、一人当たり5千円〜1万円は必要です。
自宅で法事を行うケースも多いかと思います。その場合は、僧侶へのお車代として5千円〜1万円程度、僧侶が会食に参加しない場合は、御膳料(お食事代)として、別途5千円程度を渡します。
本位牌の準備
初七日法要では、位牌は葬儀で使用した白木を使った仮の位牌を使用します。
ですが、来たる四十九日法要では本位牌に交換しますので、その本位牌の準備が必要になるわけです。
本位牌は、仏具店かお寺に頼んで準備するのが一般的でしょう。
標準的な本位牌で、3万円以上は見込んでおく必要があります。
初七日法要での香典返し代
次に、法要参加者への香典返しとして、一人当たり3~5千円程度の品物を用意する必要があります。
香典返しの品物は、食べものや消耗品などを選ぶのがマナーで、お茶や海苔、タオルなどが定番です。
色々とある法要スタイル
繰り込み法要
初七日法要は葬儀の日に執り行うことも多いです。つまり、遺体を火葬し、葬儀場に戻ってそのまま初七日法要を済ませてしまうスタイル。これを「繰り込み法要」や「繰り上げ法要」と呼びます。
七日ごとのお参り
本来の法要は、七日間ごとに行うべきとされています。四十九日までの間は、故人の魂は現世と彼岸との間をさまよい、極楽浄土へたどり着けるかどうかを、七日間ごとに試されているからです。しかし、それだけの回数の法要を開くことは現実的ではないため、ご遺族は、七日ごとにお参りだけをするのが通常です。
忌中
また、四十九日までは「忌中」と呼ばれ、おめでたいことは避けるべき期間です。慶事やお祭りへの参加、お正月祝いや旅行などはできる限り控えた方がよいでしょう。
初七日法要でかかる費用【まとめ】
以上をまとめると、以下のようになります。
お子様やお孫様、兄弟夫婦などだけで、参加者10名の初七日法要のケースで算出してみます。
最低レベルで、総額20万円程度が必要になることが分かります。
四十九日法要
続いては「四十九日法要」を見ていきましょう。
四十九日法要は重要な法要
四十九日法要は、初七日法要の後に行われる重要な法要です。
- 7日目初七日法要
僧侶に読経してもらう。
遺族、親族だけで行うことが多い。
会食をする。 - 49日目四十九日法要
僧侶に読経してもらう。
親族だけでなく、知人なども招く。
大規模な法要。
会食をする。
ここで、納骨式や開眼供養も行うことが多い - 満1年目一周忌
僧侶に読経してもらう。
親族、知人、友人まで招く。
大規模、会食をする。 - 初めて迎えるお盆初盆
親族だけで行うことが多い。
- 初めて迎えるお彼岸初彼岸
親族だけが多い。
四十九日の法要が重要な理由は、命日から49日目に故人の来世が決まるとされているからです。
そのため、四十九日の法要は、手あつく供養をするべき大切な行事です。
大きな法要なので、葬儀と同じように、親族も多少の無理をしてでも出席するべき法要です。
このタイミングで、開眼供養や納骨式も同時に行うと、法要の回数が減り、参加してくれる方々への日程的な負担も軽減されます。
そして、この四十九日を終えることで、ご遺族としても、一旦は落ち着くことになるのが一般的です。
四十九日法要でかかる費用
四十九日では、僧侶を招いて読経をしてもらいます。
お布施代は3〜5万円が相場。
しかし、開眼供養や納骨式としての供養も同時に行ってもらう場合には、それに応じた倍数で必要です。
つまりその場合のお布施は、最低でも6〜10万円程度を包む必要があります。
その他の必要経費は、先に見た「初七日法要」とほぼ同様です。
参加者20名の四十九日法要の費用例
場合によっては、遠方から招くお子様やお孫様の交通費などを援助してあげるケースもあります。
それだけで10万円以上の追加予算が生じることもあるでしょう。
四十九日法要はいつ行う?
四十九日法要は、本来は命日から49日目に行います。
しかしうまく日程調整ができない場合は、「49日よりも前」の都合の良い日に行います。
逆に、49日を過ぎた後に行うと、故人の魂が行き場を失ってしまうために好ましくありません。
それぞれの法要の意義
ここで、いくつか法要ごとの意味合いなどを紹介しておきます。
開眼供養とは、お墓を建てた際に、お墓に魂を入れてもらう儀式のことです。
単なる石でしかないお墓に、開眼供養によって、魂を入れ、そして初めてお墓が礼拝の対象となり得るのです。
僧侶に読経してもらい、焼香をすることで、その儀式は成り立ちます。
開眼供養の日程に特別な決まりはありません。四十九日の時点でお墓が未完成なら、別の日に開眼供養を行っても問題ありません。
納骨式
納骨式とは、文字どおり遺骨をお墓に納める儀式です。
一般的には、亡くなってから49日間は自宅に遺骨を置いて供養をします。
そして四十九日法要のときに、納骨式を行ってお墓に納骨することが多いでしょう。
儀式は、僧侶を招いて読経をしてもらい、お墓の中に遺骨を納め、参列者が焼香をして執り行われます。
ところが実際は、宗教的にも法律的にも、納骨のタイミングはいつでもよい、ということになっています。
必ずいつかは「墓地に」納骨をする必要がありますが、いつまでに納骨しなくてはならない、といった法律も慣例も「無い」からです。
そのため、四十九日に納骨が間に合わなければ、一周忌法要で納骨をすることも多いですし、地域によっては、葬儀・火葬の当日に納骨をするケースも珍しくありません。
逆に、納骨の予定をあえて組まずに、遺骨とともにしばらく「手元供養」として生活を送るケースもあります。
四十九日と納骨
手続き的な話をすると、納骨をするためには「埋葬許可証」が必要です。
市区町村の役所で発行してもらい、火葬場で押印してもらったこの埋葬許可証を、納骨する寺院や霊園などに提出します。
こういった行政手続きは霊園や葬儀屋に代行してもらうことも多く、その場合は、手数料として大体1〜2万円かかります。
初盆、新盆
さて、故人が亡くなって初めて迎えるお盆を「初盆」や「新盆」と呼びます。
- 7日目初七日法要
僧侶に読経してもらう。
遺族、親族だけで行うことが多い。
会食をする。 - 49日目四十九日法要
僧侶に読経してもらう。
親族だけでなく、知人なども招く。
大規模な法要。
会食をする。
ここで、納骨式や開眼供養も行うことが多い - 満1年目一周忌
僧侶に読経してもらう。
親族、知人、友人まで招く。
大規模、会食をする。 - 初めて迎えるお盆初盆
親族だけで行うことが多い。
- 初めて迎えるお彼岸初彼岸
親族だけが多い。
お盆は8月13日のところが多いですが、地方によっては7月13日のところもあります。親や配偶者の出身地などを確認して日取りに気を付けましょう。
初盆はどちらかというと、故人を迎える迎え火や盆棚などの準備をするだけで、法要まで行うことはそれほど多くありません。
一方、初盆とはいえ手厚く行う場合には、僧侶を呼んで読経してもらうことも多く、その場合にはお布施が必要です。
相場は大体3~5万円で、自宅に招く場合は別途御車代を1万円ほど包みます。
なお、四十九日までの間に初盆が来ることもあります。その場合は、初盆の法要は翌年に回すのが一般的です。あくまで四十九日を迎えた後に、初めて迎えるお盆行うのが初盆だからです。
初彼岸
年2回あるお彼岸は馴染み深いと思いますが、皆さんこれを正確に表現できるでしょうか。
お彼岸とは
お彼岸とは、春は三月下旬の春分の日、秋は九月下旬の秋分の日を中日として、その前後三日間、つまり合計7日間のことをいいます。
彼岸入りから始まり、中日を迎えて、彼岸明け、で終わります。
お彼岸と法要
これを、法要の視点から見ると、四十九日を過ぎたあと、初めて迎えるお彼岸を「初彼岸」と言います。
初彼岸は、故人が初めて極楽浄土である「彼岸」にたどり着く時期です。
初彼岸では、新盆ほどの法要は行いませんが、ご家庭や地域によっては僧侶を招いて読経をしてもらうこともありますし、あるいは菩提寺が主宰する彼岸会に参加することも多いでしょう。
少なくとも親族だけはお墓参りをし、お供え物をして初彼岸は丁寧に供養をします。
初彼岸でかかる費用
費用的には、個別に僧侶に読経してもらうなら、お布施は3〜5万円を包みます。
菩提寺主催の彼岸会に参加する場合は、1万円程度のお布施を包みます。
お彼岸の豆知識
「春分の日」と「秋分の日」はお彼岸の中日でもあります。それぞれ、太陽が真東から昇り、真西に沈む日、昼と夜の時間が全く同じになる日です。そのため、現世である「此岸」と極楽浄土である「彼岸」が、最も近くなる日と考えられてきました。現代では、国立天文台が作成する「暦象年表」に基づいて、前年に政府の閣議決定がされることでお彼岸は設定されます。
年回忌法要
ここからは、四十九日や初盆も終えた後、数年に一回行われる年回帰法要について見ていきましょう。
一周忌
一周忌法要は、亡くなってから1年目に行われる法要です。
一周忌は、年忌法要のなかでも、最も重要な位置付けです。
遺族や親族はもちろん、知人なども参列する大規模な法要とすることが大半です。
参加者20名の一周忌法要の費用例
その後、翌年すぐに三回忌、そして七回忌、十三回忌〜と続き、一般的に法要が行われるのは、以下の年回忌になります。
- 満2年三回忌
僧侶に読経してもらう。
親族、知人、友人まで招く。
大規模に行う。
会食をする。満2年(2年目)に行うべき法要が三回忌、満6年で七回忌、以下同様となります。
- 満6年七回忌
遺族、親族だけで行うことが多い。
- 満12年十三回忌
これ以降は、遺族だけで行うことが多い。
- 満16年十七回忌
- 満26年二十七回忌
- 満32年三十三回忌
- 満36年三十七回忌
- 満42年四十三回忌
- 満49年五十回忌
三十三回忌を「弔い上げ」とすることが最近は多くなっています。三十三回忌で故人が極楽往生したとして、その後は法要を行わないとする考え方です。死後32年も経つと、故人を直接知る人も減ってくるから、という現実的な理由もあったりします。
永代供養付きの墓地を選択する方の多くは、この弔い上げをあらかじめ踏まえた上で、お墓の選択基準にしています。
法要まとめ
最後に、仏教と宗派の話を交えながら、法要の意味を復習してみます。
宗派の違い
法要の流れは、基本の部分ではどの宗派でも同じような形式を取っています。
しかし、宗派の中でも浄土真宗やその他真宗各派は、やや趣が異なりますので説明しておきます。
浄土真宗
例えば、浄土真宗の宗祖、親鸞聖人は、浄土宗の戒律が厳し過ぎることに異説を唱えていました。(結婚はダメ、お肉もダメ、といった禁欲的なのが他の宗派です。)
その流れで、より多くの人に仏教が浸透するように、自由度の高い宗派を開祖した、という経緯があります。
その一つが浄土真宗です。
「霊」と「仏」
そのため、浄土真宗は、人が亡くなればすぐに極楽浄土に辿り着いて仏になれると説いています。
つまり、そこには「霊」という考えがありません。
法要の意義
他の宗派のように、三途の川や極楽浄土に渡れるか否かの審判などもないため、本来は、上で見てきたような初七日や四十九日に丁寧に法要を行う必要もありません。
にもかかわらず現実には法要が実施されているのは、ご遺族が集まって故人を思い偲ぶ会としての意味合いの方が強いからです。
「御仏前」と「御霊前」
人が亡くなると、すぐに仏になれるのが浄土真宗などの真宗各派。
ですので、浄土真宗なら、お香典の表書きには「御仏前」と書きます。
一方、浄土真宗以外は、亡くなってから成仏するまでは、仏になれません。
霊として、現世とあの世の間を彷徨っているのです。
そのため、四十九日前までのお香典には「御霊前」と書きます。