今回の「お墓オンライン」は「戒名」について解説します。
戒名とは、亡くなった後、葬儀を行う時にお寺から与えられる難しい名前、といった印象を持つ方が多いと思います。
そのような戒名について、
- いつ必要?
- なぜ必要?
- いくらかかる?
- どうやって頼む?
といった点にもフォーカスしつつ、クリアに解説していきます。
費用的には、最安2万円で済ませることもできます。
戒名とは
戒名とは、簡単に言うと、
仏門に入った証として授与される名前のことです。
意外と皆さん盲点な点が、実は戒名は、亡くなった後に授かる名前というわけではなく、「生前でも」授与されるものだという点。
熱心な仏教徒は「生前に」戒名を授かって仏門に入りますが、むしろそちらの方が本来の姿。
つまり、戒名とは、故人に与えられる名前ではなく、あくまで「仏門に入るときに」授かる名前のことなのです。
戒名が必要な理由
ところが実際は、多くの人は亡くなった後、葬儀のタイミングで戒名を授かります。
その理由は、お葬式は「葬送儀礼」と呼ばれる宗教儀式だからです。
その儀式は、俗名(生前の名前)ではできません。
そのため、生前は特に仏教徒としての活動をしていなくても、葬儀を行う以上、どうしても戒名を授かる必要があるわけです。
戒名はいつ必要?
戒名が必要な時期は、多くの人は葬儀のタイミングでしょう。
仏式の葬儀を行うには、仏門に入った証としてのこの戒名が「必須」だからですね。
逆に言うと、戒名がなければ、仏式の葬儀を行うことはできません。
戒名の仕組み
戒名のお布施相場を理解するために、戒名の仕組みを理解していきましょう。
一般的に戒名といえば、10文字弱の漢字の連なりをイメージすると思います。
ですが、より一歩掘り下げると「戒名」と呼ばれる部分は全体の「2文字だけ」。
一見、難しそうに見えますが、構成が分かると意外とシンプルです。
院号
まず、一番上の「院号」の箇所。
ここは元々は、退位した天皇の別称として使われたものです。
転じて現在では、社会的地位が際立って高い人や、同じく、信仰心が際立って高かった人が授かるものとなっています。
道号
続いて「道号」の箇所は、例えば音楽家なら「音」、芸人なら「笑」など、故人の仕事や人柄を象徴する文字が入ります。
戒名
そして「戒名」の部分が、厳密な意味での戒名です。
合計2文字の「戒名」のうち、生前の名前から一文字取り、残りの一文字は比較的自由につけられます。
故人の性格や信条を表す文字や、芸名・ペンネームなどから引用されたりします。
位号
最後の「位号」は「〜様」にあたる部分。
男性の場合は、信士または居士。
女性の場合は信女または大姉と決まっています。
樹木希林さんの例
以前、故・樹木希林さんの戒名がネットニュースで報道されましたので、引用させて頂きましょう。
本名は「啓子」さんとのことです。
そして、生前のご本人の信条が、
「役者は人の『心』を映す『鏡』」
だったそうです。
そんな由来で、戒名は「希鏡啓心大姉」
道号➜希鏡
戒名➜啓心
位号➜大姉
「希鏡啓心さま」という感じで仏門に入られたわけですね。素敵です。
お布施はいくら?
さて、戒名の仕組みを理解したところで、気になるお布施相場を見ていきましょう。
戒名は、基本的には菩提寺から授かるものです。
その際、「位号」のランクによって、次のようにお布施相場が変わってきます。
位号 | お布施の相場 |
---|---|
信士(男)・信女(女) | 20万円〜50万円 |
居士(男)・大姉(女) | 50万円~80万円 |
そしてこれに「院号」が加わると100万円クラスになってきます。
院号・院殿号 | お布施の相場 |
---|---|
院号 | 80万円〜100万円 |
院殿号 | 不明(100万円以上?) |
中間部分の「道号」と「戒名」の箇所は、お布施の額に影響しません。
戒名のお布施は、こんな感じで相場がランク付けされています(日蓮宗や浄土真宗は表記が異なります)。
このランクは、先ほど見たように、家柄や社会的地位などによって、お寺が決めるのが原則。
位号の箇所で「居士・大姉」のランクを授かった著名人を挙げてみると次のとおりです。
居士・大姉を授かった著名人
いかがですか、居士・大姉のこのランク感。
位号 | お布施の相場 |
---|---|
信士(男)・信女(女) | 20万円〜50万円 |
居士(男)・大姉(女) | 50万円~80万円 |
結果、大半の人は、信士・信女のランクにおさまり、「20万円〜50万円」がお布施の相場と見てよいでしょう。
お布施が20〜50万円のパターン
費用を安くする方法
さて、戒名のお布施には相場があることは分かりました。
しかしこのことは逆に、「定価が無い」とも言い換えられます。
そこで、費用を安くする方法を2つ紹介します。
安くする方法①【生前戒名】
宗派や地域にもよりますが、生前に戒名を授かると、お布施の相場がグンと安くなるケースがあります。
安い場合だと5万円程度のこともあり、遺族への経済的負担を考えている人は検討に値するでしょう。
自分が生きている間に遺族への経済的負担を減らせる安心感は何事にも変え難く、かつ、自分の戒名を知ることもできます。
生前戒名の注意点
生前戒名には注意点もあります。
実際にある話ですが、せっかく生前戒名を授かっていても、いざ自分がなくなった後に葬儀を執り行う遺族がそのことを把握しておらず、結果、二重に戒名を授かってしまうことがあり得ます。
生前に戒名を授かる場合は、そのことを家族だけではなく、親類などにまでしっかりと伝えておくことが必須です。
安くする方法②【ECサイト】
費用をおさえるもう一つの方法はECサイトです。
Web上で戒名依頼を手配してくれるサービスは、今や完全に定着しています。
お布施の相場が安いお寺や僧侶を集約してくていたりもするため、一度確認してみることをおすすめします。
最安で2万円というケースも見られます。
戒名は必ず必要?
戒名は仏門に入るために授かるものです。
そのため、仏式の葬儀を行う以上は、必ず戒名は必要です。
戒名が不要のケース
「仏式でなければ」そもそも戒名は不要です。
無宗教葬儀は俗名でお葬式を行いますし、他の宗教はもちろん、神葬祭(神道のお葬式)なども戒名は不要です。
戒名をつけない場合の注意点
戒名は不要、というケースには注意点があります。
戒名を授からない以上、お墓も無宗教を受け入れてくれる場所にしか建てられませんし、納骨先もしかりです。
菩提寺への納骨もほぼ断られるはずなので、選択肢は、霊園や納骨堂、散骨などに絞られるでしょう。
戒名はどこに頼む?
戒名は、本来的には、檀家となっているお寺・菩提寺に依頼をするものです。
菩提寺に頼む
しかし、檀家になっているということは、そもそもお寺との接点も濃いはずですので、戒名の悩みもそのお寺との相談で解決するはずです。
ちなみに、檀家はそのお寺に貢献している家系であることが多いため、戒名のランクも高めのものを授かる傾向にあります。
菩提寺がない場合は納骨先に頼む
菩提寺がない場合や、檀家になっていない人の場合は、納骨先となるお寺の住職に戒名を依頼します。
※菩提寺や檀家のことがまだ曖昧な方は、こちらで詳しく解説しています。
葬儀社に頼む
納骨先が未定の場合は、お葬式の際に、葬儀社に頼れば手取り足取り手配をしてくれるはずです。
戒名授与サービスに頼む
どこに頼んでいいのか全く検討もつかない、といった方は「戒名授与サービス」を訪問してみるのがおすすめです。