【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方

墓石

お墓を建てる際の平均価格は、各種調査では総額160万円ほどの結果が多いと思います。

当霊園でも、概ねそれと同じか、もう2〜3割高くても標準的な印象です。

仮に総額が200万円とすると「墓石ぼせき代」は、そのうちの140万円前後が相場で、全体の約7割を占めます。

この7割の部分を正しく理解できると、経済的にも、お墓の質的にも全て良い方向に向かいます。

このあたりについて、知識ゼロの方でも理解できるように解説していきます。

墓石の種類

まずは墓石の種類をザッと見ていきましょう。

墓石の種類

墓石は300種類ほどあります。

その種類や産地によって、価格は大きく変動します。

墓石の比較表

最高級の墓石を500万円と見た場合の比較表を例に出してみます。

世界最高品質から皇室御用達まで、色々とあります。

産地価格比較種類
国産500万円庵治石あじいし(主に香川県)
最高品質の墓石。
高級墓石として不動の1位。
墓石材としては世界一とも言われ、ブランド力も圧倒的です。
国産300万円浮金石うきがねいし(主に福島県
日本を代表する高級ブランド石材。
国産黒御影石の最高級品。
希少性が高い。

皇室関係の記念碑や、有名建築材にも使用されています。
国産250万円羽黒青糠目石はぐろあおぬかめいし(主に茨城県
青みがかった花崗岩です。
日本の三大最高級銘石と称されることもあります。
芸能人や著名人がよく使用しています。
国産200万円大島石おおしまいし(主に愛媛県
水分の吸収率が低い。
耐久性に優れている。
経年変化が出にくい高品質の石材。
国会議事堂や赤坂離宮などに使われています。
国産150万円稲田石いなだいし(主に茨城県)
白く澄んだ色の御影石。
酸に強い化学成分が突出して多い。
酸性雨による劣化がほとんどない。

耐久性が非常に高い石材と言われています。
インド産150万円ニューインペリアルレッド
赤御影石として有名。
インド産は硬度が高いことが特徴。

その中でも特に硬度が高いのがこの石材。
吸水率が低く、雨風に強い。
硬すぎる故に加工が難しく、施工費が高くなることもあります。
スウェー
デン産
80万円〜「ファイングレイン」が代表格。
国産の高級品と並ぶ品質。
その他、黒御影石系が豊富。
安価なものも幅広く種類が整っています。
中国産50万円〜日本の墓石の7割ほどが中国産。
特に多いのが白御影石。
生産量も豊富。

最も安価な価格相場の墓石が多く揃っています。
南アフ
リカ産
50万円〜黒御影石の生産量が多い。
オリーブ、パープル、ブラウン系なども多い。

選択肢が豊富。
日本では建築材としてもかなり多く使用されています。

庵治石あじいし(主に香川県)や羽黒青糠目石はぐろあおぬかめいし(主に茨城県)など、そのブランド価値や産地はもちろん、読み方だけでも知っていると、石材店との話もスムーズに進みます。

続いて具体的な相場を紹介していきます。

墓石・石材の価格相場

以下のパターンで具体例を見ていきます。

墓石・石材の価格相場
  • 最安のパターン
  • 標準的な例(外国産の墓石)
  • 標準的な例(国産の墓石)
  • 立派に仕上げた例

順に見ていきましょう。

墓石・石材の価格相場【最安の例】

ひとつ目は「最安の」墓石・石材を選択するパターン。

その場合は、次のような感じになります。

墓石代をおさえる

墓石代40万円〜50万円
  • 墓石は安めの中国産
  • デザインは極シンプル
  • 付属品無し

このような選択で、墓石代は40〜50万円となるのが一般的です(工事費込み)。

郊外の霊園を選ぶ

その上で、永代使用料えいたいしようりょうが安い郊外の霊園を選ぶと、墓地代(敷地代)も抑えられます。

細かなリクエスト無し

さらに「区画指定」「番号指定」といったオプションなども加えなければ最安値が実現可能。

このようなパターンなら、墓石代も含めて、総額で100万円を切る予算内で可能でしょう。

【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!

永代使用料えいたいしようりょうとは、墓地を使用するための敷地代のようなもの。郊外の墓地などは比較的安い傾向にあり、また、面積が狭いほど安くなります。さらに、年間管理料も、それらに比例して上下します。

墓石・石材の価格相場【標準的な例】

次は、無理して値段をおさえない、標準的なパターンの具体例です。

墓石代120万円〜150万円
  • 墓石は標準レベルの中国産
  • デザインはシンプルで直線的
  • 敷地面積は標準範囲の2.0㎡

お寺で見かける、日本人に最も馴染み深いお墓のスタイルです。

敷地の広さ「2.0㎡」は、いたって平均的。

凝った加工はせずに、直線的な縦長のお墓です。

【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!

場所を指定したり、「区画番号」にこだわる場合などは別途課金されます。追加リクエストの内容次第で、数十万円上乗せになることもあります。

墓石・石材の価格相場【標準的な国産の墓石を使った例】

墓石は国産の方が希少性が高く、ブランド価値も高い傾向にあります。

そのため、国産をチョイスすると、予算は一気に跳ね上がります。

国産と言えどもピンキリですが、標準的なもので以下のような状況です。

墓石代150万円〜200万円
  • 墓石は国産
  • 敷地面積は2.0㎡以下
  • 特殊な加工や彫刻は無し

最もポピュラーな選択がこのパターンと言えます。

【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!

霊園ではなく、寺院墓地じいんぼちを選ぶと、お寺の檀家だんかになるための費用が別途必要です。これを入檀料にゅうだんりょうといい、大体10万円〜30万円が相場です。

檀家とは?

墓石・石材の価格相場【立派に仕上げた例】

経済的に余裕がある場合は、以下のような感じになるでしょう。

墓石代380万円〜
  • 墓石は国産
  • 区画面積は4.0㎡
  • 外柵・墓誌を設置
  • デザイン加工有り
※外柵・墓誌・デザイン加工
五輪塔のイメージ
デザイン加工(五輪塔)
外柵のイメージ
外柵のイメージ

外柵がいさくとは、墓石を石材で囲う枠のことです。玉垣、巻石とも呼ばれます。敷地間の境界線が明確になり、また、全体の印象に大きく影響しますので、こだわる人は結構多いです。

墓誌のイメージ
墓誌のイメージ(画面右側)

墓誌ぼしとは、故人の戒名や没年月日などが彫刻された石板。この付属パーツだけで、10万円〜30万円ほどかかります。

【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!

墓石代の相場感をもう一度まとめておきます。随時振り返ってみてください。

【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!
【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!
【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!
【実例で見る】墓石の価格相場・石材の種類・選び方のイロハを解説!

以上が墓石・石材の価格相場でした。

続いては、安く仕上げる方法を見ていきます。

墓石代を安くする方法

墓石は、以下の切り口で価格に大きく影響してきます。

墓石の価格を左右するポイント
  • 産地
  • 大きさ
  • デザイン

墓石代を安くする方法-1【産地】

まず、国産と外国産の違いから見ていきましょう。

日本産のブランド力

「国産の石」は、最も高額になります。

その理由は、

  • 希少性
  • 格式高い使用実績

などで、ブランド品のようになっているからと言っていいでしょう。

外国産の品質

一方、外国産の石材が、一律に品質が劣るというわけではありません。

  • 品質は国産と同レベル
  • 日本産よりも安価

といった実情をおさえておきましょう。

墓石に多いのが花崗岩かこうがん、いわゆる御影石みかげいしです。その花崗岩は、マグマが、深い地中で、長い年月をかけて固まって出来上がります。そういった地球規模の視点で見ると、外国のマグマの質が国産のマグマに劣る、と単純には直結しないことがイメージできますね。

国産を選ぶ大きな理由のひとつは、やはりそのブランド性にあります。

ブランドにこだわらない人なら、安価な外国産で、じっくりと品質の良いものを選んでいくことがおすすめです。

墓石は「石材店せきざいてん」と呼ばれる専門業者に依頼して造ってもらいます。お寺や霊園と墓地契約をした後、指定石材店や紹介石材店の営業の方と打ち合わせて、墓石選びを進める形になります。

墓石代を安くする方法-2【大きさ】

さらに価格を安くする方法を見ていきます。

墓石の大きさと価格

墓石の「大きさ」が価格に与える例がこちらです。

敷地面積墓石代(標準的な中国産)
1.0㎡(小さめ)100万円
2.0㎡(標準)150万円
3.0㎡(大きめ)230万円
同一の墓石で比較

例示はしましたが、敷地の広さと墓石の種類は、自由にコントロール可能です。

たとえば、

  • 敷地は広く、墓石は外国産でリーズナブルに
  • コンパクトな敷地に、国産高級石材を使用

こういった考え方もありです。

墓石の大きさを決めるタイミングは重要です。墓地(敷地)を決めてから「さあ、次は墓石、どれにしようかな」という流れだと、敷地面積ありきの墓石の選択しかできないからです。墓地(敷地)を選ぶ段階で、この辺りをイメージしておくことが重要です。

墓石代を安くする方法-3【デザイン】

墓石を加工するには、本当に大変な職人作業を伴います。

墓石が高額なのは、高度な職人技術を伴う人件費が高いことも大きな理由のひとつです。

墓石・石材の値段・種類・選び方のイロハを解説!
デザイン加工のイメージ画像

たった一つのデザインをリクエストをするだけで、数十万円レベルの追加料金も珍しくありません。

シンプルなデザインは加工費用も安い

一方、直線的で、四角いお墓だと、パターン化されていて量産しやすいデザインとなり、費用も安く済みます。

デザインと石の使用量の関係

シンプルスタイルは、石の使用量も最小限で済みます。

一方、装飾などを掘る場合は、石の基本使用量が増え、価格の上乗せに影響します。


以上が、墓石代を安くおさえるポイントでした。

続いては、お墓の本体以外にかかる費用について見ていきましょう。

墓石の本体以外【付属品の価格例】

お墓によく付属されているものを見ていきます。

必需品ではありませんので「付属品無し」という選択も普通にあり得ます。

予算重視の人は、参考程度に知識を入れておくだけで大丈夫でしょう。

付属品【墓誌】

墓誌のイメージ画像

墓誌ぼしとは、故人の戒名かいみょうや生前の本名・経歴、没年月日、などが彫刻された石板のことです。

これを建てるだけで、10万円〜30万円かかります。

墓誌を設ける目的は、誰が埋葬されているお墓なのかを分別するため。戒名板かいみょうばん霊標れいひょう、または法名ほうみょう碑とも呼ばれます(宗派によっても呼び方が変わります)。

付属品【卒塔婆立て】

卒塔婆そとうばは、法事の時に追善供養ついぜんくようのために立てるものです。

亡くなった人の命日(3回忌や7回忌など)に法要を行い、故人を供養することが善行となり、やがてそれが自分に戻ってくる、という考え方です。

卒塔婆のイメージ画像

石材の卒塔婆立てを付属すれば、5万円ほどはかかるでしょう。

付属品【灯籠】

灯籠のイメージ画像

墓前の灯火によって邪気を追い払う、という習慣です。

6万円〜10万円です。

付属品【お地蔵様】

お地蔵様を付属して加えると、5万円〜10万円。

お地蔵様とは「地蔵菩薩ぼさつ」のことですね。そして「菩薩」とは、仏さまの次の位の「衆生しゅじょう」のこと。「衆生」とは「菩提ぼだい」を求める生きとし生ける全てのもの。「菩提」とは煩悩ぼんのうを断って悟りを開く無上の境地。お地蔵様のこと、改めて表現するとそんな感じです。お釈迦様が亡くなった後、次の仏さまが現れるまでの56億年(!)の間、残された私たちを救ってくださる菩薩、そういった位置付けがお地蔵様なのです。

付属品【物置台】

物置台を作るだけでも、それ相応の石材と加工費が必要です。

5万円ほど見込んでおく必要があります。

これら付属品は、広い敷地に大きなお墓と多くの付属品、そんな余裕のあるケースがほとんど、最低でも総額500万円レベルの世界観です。

墓石購入時の注意点

以上、お墓を買う前におさえておきたいポイントを見てきました。

最後に、いくつかの注意点をまとめてご紹介しましょう。

【注意点1】石材店はイチ企業

石材店の担当者は、売上成績を背負っている営業職の方たちです。

セールストークにのまれないためにも、是非、基本知識をおさえた上で墓石選びに臨みましょう。

【注意点2】施工実績を確認

予算重視で石材店と話を進めると、例えば、

「総額50万円の定額墓石プランが大変お得で、とても好評です」

といった提案も出てくると思います。

予算的には魅力的でも、実績がない墓石の場合は慎重に話を進めましょう。

安価なプランは、石の劣化リスクを背負う覚悟が必要です。

完成したばかりのお墓は、素人目にはどれも立派に見えます。ですが墓石の品質は数十年後に本領を発揮します。お墓の管理を引き継ぐ子世代のことを考えると、丈夫で劣化しない品質を選択ポイントにするに越したことはありません。

劣化の程度は、実際お墓や霊園に足を運んでみると肌で感じることができます。お墓の裏側には、そのお墓が建てられた年月が彫られています。墓石ごとにどんな差が出るのか、同年代の墓石で比べて体感してみるのも一案です。

【注意点3】外国産でも大丈夫?

外国産の墓石が日本国内で使われるようになって、実はまだ数十年ほどです。

日本で数十年経過した後の外国産墓石の劣化具合は、まだ誰も確認できないので、当編集部でもはっきりと答えられず悩ましいところです。

とはいえ、石はお墓だけではなく、建築などにも普通に使われています。

「建築資材としては」経年劣化の具合はチェック可能ですので、石材店の方に聞いて確認しましょう。

その上で、きちんとした形で「原産地証明書」を発行してもらえれば、なお安心です。

【注意点4】加工地(場所)を確認

割高の国産の石を選んで満足したつもりが、実はその加工は海外で行い、それを逆輸入する、そういったケースもあります。

予め石材店に確認をして、それが価格面や技術面にどのように反映されているのかをクリアにしておくことをおすすめします。

ただ、実際は、国産の墓石であっても、加工は中国でなされていることが日に日に増えてきています。日本の石工いしくは減る一方なので、もはやこの流れは止まらないでしょう。

【注意点5】価格の妥当性を確認

お墓の製造はオーダーメイド型の物作りスタイルで、石材店としては正確な見積もり金額を出すことが、実は難しいのが現実です。

いざ製造に入ったものの、予期せぬ追加料金が発生してしまう、といったケースはよくあります。

どの石材店でも同様なので、購入者目線でリスク提示をしてくれる石材店の方が、追加料金の揉め事など余計なストレスを使わずに済みます。

石材店の信頼度を見極めるためにも、相見積もりは必須です。

【注意点6】支払いのタイミング

お墓を注文して完成するまでは2〜3ヶ月程度かかります。

まとまったお金(現金)は、お墓の完成後ではなく、完成する前から必要です。

全体的な支払いの流れは、大体以下のイメージ。

  1. 永代使用料の支払い(墓地契約時)
  2. 墓石代の着手金の支払い
  3. お墓完成後、残額の支払い

それぞれの段階でまとまったお金が必要で、いずれも現金か振込による支払いがほとんどです。

ローンを検討したい方は、墓石代のローンを扱う石材店(金融機関)もあります。まずは石材店に相談すれば色々と情報を提供してくれます。墓石ローンは比較的条件が緩く、借りやすいのが一般的なので、検討の価値はあります。

墓石・石材の値段・種類・選び方【まとめ】

墓石の話をここまで見てきました。

何と言っても、日本産の石は、世界一と言われるほどのブランド価値があります。

冒頭で紹介した庵治石あじいしはその代表格。

せっかく墓石に関心を持たれたなら、一度は世界最高峰と言われる庵治石で作られたお墓を見ておくことをおすすめします。

その品質の違いに心奪われるなら、より一層、墓石選びに没頭した方が良いでしょう。

一方で、高級墓石を見ても、「ふ〜ん・・」で終わるタイプなら、外国墓石を中心に、現実路線で墓石選びをする方が賢明です。

ただ、実際にお墓を管理し続けなくてはならないのは、子供や孫といったお墓の承継者たちであることは、常に念頭に置いておきたいところです。

劣化して、朽ちてしまったお墓を改葬したり、墓じまいをするのはそういった承継者たち。

そのような点にも配慮する必要があるのが、お墓選びの悩ましいところです。

お墓の選び方は本当に様々です。

関心のある方は、永代供養付きのお墓を視野に入れるなど、是非「お墓オンライン」で他のポイントも理解しておいて下さい。