葬儀の流れと費用をスケジュール表で整理

葬儀のこと

今回の「お墓オンライン」は、ご臨終から葬儀を終えるまでの流れを詳しく解説します。

葬儀を終えるまではわずか4〜5日、スケジュールはシンプルです。

この記事で、全体のスケジュール表、そして大事なお金のこととあわせ、葬儀の全体像を把握できます。

葬儀の流れと費用【全体像】

大切な人が亡くなった時、葬儀終了までの流れは以下のとおりです。

葬儀の流れ

臨終から葬儀終了までのスケジュール
  • 1日目
    臨終

    死亡診断書、搬送・安置

  • 1〜2日目
    葬儀の準備

    葬儀社の選択

  • 2〜3日目
    訃報連絡

    弔辞の依頼

  • 3日目
    通夜

    納棺、通夜振る舞い

  • 4日目
    葬儀・告別式

    火葬、精進落とし、初七日法要

ご臨終からの葬儀を終えるまでは、この全体像を随時振り返れば、初めてでも不安なく先に進めます。

葬儀の費用

そして、全体像に照らした費用イメージが以下の表のとおりです。

項目相場明細
葬儀関連120万円遺体の搬送・安置、
遺影・位牌(白木)・骨壷の手配、
通夜・告別式の設営、
当日のスタッフ・司会進行、
火葬場の手配、
霊柩車・移動バスの手配、
香典返し(返礼品)の準備
会食35万円通夜振る舞い(通夜の後)、
精進落とし(葬儀の後)
お布施45万円戒名、納棺式、
通夜、葬儀、
初七日法要、
御膳代、
お車代
総額200万円
参列者50名クラスの例

家族葬や密葬、直葬にすれば、費用は大幅に下がります(後ほど解説します)。

では、時間の流れとともに解説します。

葬儀の流れと費用【その1】臨終

臨終直後に、どのように状況にあったとしても、まず行動すべきは「連絡」からです。

臨終直後の連絡

この段階で連絡するのは、身近な親族と、そして故人と深い関係にあった知人だけに絞ります。

臨終直後は、最初の儀式とも言える「末期の水まつごのみず」を執り行います。

言い回しとしては「末期の水をとる」など。

故人の唇を水で湿らせてあげるだけですが、親族の中には「死に水(末期の水)を与えてやれなかった」と後悔する人も少なからずいるはずです。

知人や、職場関係者などには、まだこの段階では連絡しません。

その理由は、この後の「訃報連絡」のところで説明します。

宗派が浄土真宗なら末期の水はとらない、といったこともあります。家系の宗派に宗派を、直ちに親族などに確認する必要があります。

連絡の手段には特に作法はなく、携帯やメールで大丈夫です。

病院で看取った場合


病院で亡くなった場合は、看護師が、末期の水をはじめ、その他色々と導いてくれるので、遺族が細かいことまで把握しておく必要はありません。

例えば、亡くなった直後、ご遺体の顔色を化粧で整えたり、髭を剃るなど、体を綺麗にしてくれます(「エンゼルケア」と言います)。

「(故人に)最後に着てもらいたい服とかありますか?」と聞いてくれたりもします。これらは、後ほど説明する「納棺のうかん」や「副葬品ふくそうひん」「湯灌ゆかん」とも関連してきます。

宗旨・宗派を確認

本記事では、仏教を前提としますが、同じ仏教でも、宗派が違えば、細かな点に違いが生じます。

例えば僧侶による読経も全く異なります。日常では宗教に馴染みがない人も多いですが、知らずに異なる宗派で葬儀を進めると、普段、仏壇の前などでお経を唱えている親族などがいれば大混乱してしまいます。

身内へ連絡して家系の宗派を確認、または、既にお墓がある家系なら、そのお寺に確認します。

宗派はこの後の葬儀社への依頼内容にも影響します。

死亡診断書・死亡届け

臨終の直後は、医師から「死亡診断書」を必ず発行してもらいます。

死亡診断書がないと、その後の「死亡届け」を役所に提出できないからです。

「死亡診断書」「死亡届け」は7日以内に提出する義務があります

「死亡届け」が未提出だと・・
  • 火葬・埋葬ができない
  • 住民票を抹消できない
  • 世帯主の変更ができない
  • 年金受給停止手続きが行えない
  • 介護保険喪失届を提出できない

事実上は、すぐに提出しておかないと、火葬ができないということになります

年金や住民票などは、手続きを怠ると罰則も設けられていますので注意が必要です。

死亡届け
提出名義(届出人)親族か同居人のみ
実際の提出代理でOK
葬儀会社が代理提出してくれるケースもあり
提出先以下に該当する役所の戸籍係
・故人の本籍地
・届出人の住所地
・死亡地

役所へ「死亡届け」を出す時は、「死亡診断書」も同時に提出します(両者は、用紙の左右に別れたセットになっています)。

「死亡診断書」は、役所に原本を提出します。後で生命保険の請求などで必要となる書類でもあるので、必ずコピーを取っておきましょう。

死亡診断書にかかる費用

「死亡診断書」の発行には費用がかかります。

病院によって異なりますが、5千円程度。

医療行為の一環なので、個人払いとなります(葬儀費用には含まれません)。

死亡届にかかる費用

「死亡届」の代行を葬儀社に依頼した場合は、追加で1万円程度の代行手数料を見込んでおく必要があります。

この代行手数料も、葬儀費用に含まれていないケースの方が多いでしょう。

搬送・安置

次は、ご遺体の搬送と安置への対応が必要です。

亡くなった後の遺体の搬送先・安置場所は、遺族で用意する必要があるからです。

例え霊安室がある病院で亡くなったとしても、必ず搬送先を求められますので、その時点ですぐに決断しなくてはいけないのが搬送先・安置場所です。

搬送先

搬送先は「自宅」「葬儀社などの安置場所」か、このいずれかになります。

安置期間

安置期間は、お通夜までの2〜3日間が目安。

搬送・安置費用

搬送・安置の費用相場は以下のとおりです。

明細費用相場
搬送費用2〜3万円距離換算のケースが多い。
遠隔になるほど高くなる。
施設
利用料
(※)
2〜3万円葬儀社、斎場が所有する安置施設。
斎場の施設なら、葬儀当日の移動が不要なのでおすすめ。
保存経費1〜3万円遺体の状態を保つための諸経費。
ドライアイスなどを使用。
管理経費
(※)
3〜5万円遺体の状態を保つための、人的なモニタリング。
合計10万円自宅の場合は(※)印は不要(合計5万円前後でしょう)。

「自宅」に安置する場合の注意点

安置場所として自宅を選んだものの、いざ搬入しようとしたら「玄関を通れない」「階段が狭い」「エレベーターに入らない」など物理的な理由でご遺体を入れられなかった、というケースもありますので、それを前提に判断してください。

理想はやはり、事前に葬儀社を決めておき、安置場所について打ち合わせておくことがベストです。

「葬儀社」に安置する場合の注意点

安置施設の質や立地には、結構なバラつきがあります。

故人のご遺体と対面しやすい設備を整えていたり、遺族用に宿泊設備を持っているなど、しっかりとした遺族目線を持つ施設なら問題ありません。

一方、「場所が遠い」「対面時に別途費用がかかる」、さらには「通夜当日まで対面は不可」といった施設も、実は多くあります。

この点からも、葬儀社の評判は事前に調べておくのが理想です。

葬儀の流れと費用【その2】葬儀の準備

さて、臨終、死亡診断書、安置、と説明しましたが、臨終直後にやるべき重要なことが、もう一つあります。

ほぼ上記と同時進行になりますが、臨終の後は、速やかに葬儀屋に連絡をして、葬儀の内容を短期間で詰めていかなくてはなりません。

亡くなってから4日目までには全てを終了

亡くなってから遅くとも4日目までには、葬儀・火葬まで終わらせているのが現実です。

探し方は、多くはネットに頼ることになると思いますが、それで全く問題ありません。

ちなみに、病院が葬儀社を紹介してくれることも多いですが、病院に出入りしている葬儀社は、価格面で良心的な葬儀社とは言えないケースが多い傾向にあります。できれば、知人からの紹介、それが難しければネット検索で探すことをおすすめします。

菩提寺がある場合の注意点

葬儀の打ち合わせの際、菩提寺ぼだいじがある方は以下の点に留意します。

菩提寺にお願いする場合、葬儀を行う日程は住職の日程を最優先して、式場や会場の予約を進めます。

お通夜や葬儀での読経の依頼や、戒名についての相談もこのタイミングで行います。

ちなみに「友引」の日であっても、宗教上は葬儀を行なっても全く問題ありません。
ですが、世間の一般感情として、友引の日に通夜や葬儀に参列するのはネガティブな印象があるため、可能なら外した方が無難です。

※戒名とは


戒名かいみょうとは、仏に弟子入りした証として授与される名前のことです。葬儀という宗教儀式を行うためには、俗名ではなく、仏教徒としての戒名が必要で、それによって極楽浄土に導かれると考えられています。

戒名は、菩提寺の住職から授かることが原則。与えられた戒名は、位牌いはいや墓石に刻まれ、葬儀や法要の読経の際に読み上げられます。

戒名はお布施の額によって付けてもらえる戒名の位が変わります。

葬儀にかかる費用

あらためて平均的な費用相場を確認しておきましょう。

項目相場明細
葬儀関連120万円遺体の搬送・安置、
遺影・位牌(白木)・骨壷の手配、
通夜・告別式の設営、
当日のスタッフ・司会進行、
火葬場の手配、
霊柩車・移動マイクロバスの手配、
香典返し(返礼品)の準備
会食35万円通夜振るまい(通夜の後)、
精進落とし(葬儀の後)
お布施45万円戒名(※)、納棺式、通夜、葬儀、
初七日法要、御膳代、お車代
総額200万円
参列者50名クラスの例

上記には、香典は計算に入っていません。

香典は一概に割り出せませんが、全体費用の1割〜3割程度が目安と言われています。

また、近年は家族葬など、小規模の葬儀を希望される方も多いかと思います。

その場合は、上記費用の6割程度、総額で120万円程度を見積もっておけば、十分範囲内に収まると思います。

葬儀の流れと費用【その3】訃報連絡

さて、全体の流れのポイント「3つ目」に入ります。

打ち合わせを経て、葬儀内容が固まったタイミングで、親戚・知人、職場関係など、故人と関わりのあった方々に訃報連絡を入れます。

注意点として、葬儀内容が未定の段階で、急いで多くの人々に連絡をしてしまうのは避けたほうが無難です。

理由は、ご遺族はまだまだやるべきこと、決めるべきことが山積する中、訃報を聞きつけた人々は、どうしても弔意・弔問の連絡をなされ、遺族はその対応だけでもかなりのエネルギーを必要とするからです。

仮に、未定のまま伝えてしまった内容がその後変更となれば、その訂正の連絡を入れなければならないなど、神経を使うことが倍増して、色々なところに弊害が波及します。

家族葬を考えている方にも注意すべき点があります。「家族葬だから訃報連絡は葬儀が終わってから」とするのは、礼儀・マナーの点から避けるべきです。葬儀は「葬送儀礼」という「儀式」ですので、家族葬の場合でも、きちんと事前に「故人の意向もあり家族葬をする方針なので、参列はご遠慮いただきたい」とするのがマナーとして適切です。訃報の情報は思っている以上にあっという間に広がります。「何も連絡がない」「こちらから連絡をするべきか」と周囲が混乱することを避けるためにも訃報連絡は必要です。

葬儀の流れと費用【その4】通夜

一般的には、

  • 1日目;通夜
  • 2日目;葬儀・告別式・火葬

という流れで行われることがほとんどです。

全体的な通夜の進行は、葬儀社のスタッフが仕切ってくれるので心配は不要です。

むしろ、遺族は、席次や会葬礼状などに誤字脱字がないかなど、自分達の目線で確認をする程度でよいでしょう。

納棺について

通夜が行われる当日には、納棺のうかんと呼ばれる儀式を行います。

納棺とは、故人をひつぎに納めることで、故人を送り出すための大事な儀式です。

納棺の所要時間は1時間程度。

通夜の開式時刻は午後6時頃がほとんどなので、納棺は午後2時頃に行われることが多いでしょう。

納棺には、遺族だけではなく、親族が参加しても全く問題ありません。

棺に納める前に「経帷子きょうかたびら」「死装束しにしょうぞく」を葬儀屋が用意してくれることも多いですが、故人が好きだった洋服を着せてあげても問題ありません。

また、納棺の際には「副葬品ふくそうひん」として、生前に故人が好んでいたものなどを、手向けたむけとして入れることもできます。

大切な人が永遠に旅立つ瞬間です。副葬品は、熟慮して決めておきましょう。

葬儀が終わった後に「こっちにしておけばよかった・・」となって、ずっと後悔するケースも多く見られます。

火葬に悪影響が生じるもの(鉄、ガラスなど)、縁起上避けるべきもの(生きている人が写っている写真など)は火葬前に入れることはできません。

湯灌は別途10万円前後かかる

納棺の際に「湯灌ゆかん」を行うかどうか、を葬儀社から問われる事があります。

「湯灌」とは故人の遺体をぬるま湯できれいに洗う儀式です。

湯灌とは、儀式の前に、故人の体を綺麗にする宗教儀礼てす。

行うに越したことはないのですが、これを行わなくても問題ありません。

湯灌を行うと2時間近くの時間が必要になります。
想像以上に大変なので、追加費用も別途10万円近くかかるのが相場です。

ご遺体が裸になることに躊躇する人も多いですし、病院でなされたエンゼルケアで十分、という理由で湯灌は省略するケースの方が今は多いかもしれません。

これら、納棺や湯灌を終えた後、遺族は、通夜会場に早めに入ります。

通夜会場での流れ
  • 葬儀社との最終打ち合わせ
  • 僧侶への挨拶
  • 通夜式開始
  • 読経どきょう
  • 焼香
  • 通夜振る舞い・お清めの席を設けて食事を囲む

通夜の本番は、ほぼ全てを葬儀社のスタッフや司会進行の誘導に任せておけば大丈夫です。

式の所要時間は1〜2時間ほどかかりますが、終わりの時間をあらかじめ設けることはせず、ある程度の時間が来たら散会する、というスタイルになります。

喪主の挨拶は、以下の3回です
  1. 通夜式が終わり、僧侶が退場した後
  2. 通夜振るまいの席で開会の挨拶
  3. 同、閉会の挨拶

葬儀の流れと費用【その5】葬儀・告別式

葬儀・告別式は、通夜の翌日に執り行います。

葬儀は「遺族が」故人を見送る儀式のこと。

告別式は「親族や友人などが」故人に別れを告げること。

両者は似て非なるものですが、これらを同時に行なって「お葬式」と呼ばれています。

  • 葬儀はお昼前後に行われることが大半。
  • 遺族は、開始時間の1時間ほど前に式場入り。葬儀社と最終確認。
  • 式の進行などは、全て葬儀社のスタッフが行う。

弔辞の氏名や肩書きなどは、絶対に間違いがないように、遺族の視点で最終確認は必要です。

式の所要時間は小1時間ほどが平均的。

僧侶の読経を終え、弔辞・弔電、そして参列者の焼香、の順に式次第が進みます。

焼香の際、喪主は指名アナウンスされる場合もあります。大勢の視線を浴びても恥じないように、お焼香のマナーを心得ておきましょう。

式が終わったら、祭壇に飾ってある花一杯をひつぎに手向けて別れを告げ、出棺に移ります。

故人の全身の姿をみれるのは、後にも先にも、この出棺のタイミングが最後です。

「有り余るほどのお花で故人の最後を飾りたい」、そう思うのがこの瞬間です。お花代の予算は、それをイメージして見積もってください。

そして喪主は、出棺前に参列者に向かって挨拶を行います。

通夜の挨拶よりも、気持ち長めに話すのが通常です。

出棺・火葬

葬儀の後、喪主から参列者に挨拶。

そして遺族・親族と僧侶だけで火葬場に向かいます。

マイクロバスなどをあらかじめ葬儀社を通して手配しておきます。

火葬場に着いたら、火葬炉の前で「納めの儀」。

ここで、棺の小窓を通して、故人の顔が見れますが、この瞬間以降が永遠の別れ、呼びかける声も、これ以降はどこにも届きません。

そして荼毘だびに伏されます。

所要時間は1〜2時間。

火葬が終わると、お骨上げおこつあげ

収骨室で、骨壷こつつぼに遺骨を納めます。

納棺の時には、棺には入れられなかった故人の時計やメガネ、アクセサリーなどは、ここで納めることができます。

骨上げこつあげ後は、骨壷と火葬済の証明が押印された火葬許可証を受け取ります。

証明が記された火葬許可証は、納骨時に必要となる書類です。

火葬後は精進落とし

火葬が終わったら、葬儀場もしくは料亭に戻って「精進落とし」と呼ばれる会食を行います。

故人を偲ぶ食事の席のことで、これをもって、いわゆる一連の「お葬式」は終わりです。

それぞれの「初七日法要」


葬儀の後、初めての法要として「初七日法要しょなぬか」を行います。初七日法要とは、本来は故人が亡くなってから7日目に行うべき法要のことです。

この七日目は、亡くなってから三途の川に辿り着くまでの期間と考えられています。三途の川を対岸まで無事に渡り切れるように、つまり故人があの世にいけるようにお祈りをする、そんな大切な法要のひとつです。

ですが、初七日は葬儀が終わってすぐということもあり、また、その後に四十九日という大規模な法要が備えていることもあって、葬儀の当日に一緒に済ませてしまうことの方が現代では多いです。

葬儀の流れと費用【その6】まとめ

臨終から葬儀終了までのスケジュール
  • 1日目
    臨終

    死亡診断書、搬送・安置

  • 1〜2日目
    葬儀の準備

    葬儀社の選択

  • 2〜3日目
    訃報連絡

    弔辞の依頼

  • 3日目
    通夜

    納棺、通夜振る舞い

  • 4日目
    葬儀・告別式

    火葬、精進落とし、初七日法要

項目相場明細
葬儀関連120万円遺体の搬送・安置、
遺影・位牌(白木)・骨壷の手配、
通夜・告別式の設営、
当日のスタッフ・司会進行、
火葬場の手配、
霊柩車・移動マイクロバスの手配、
香典返し(返礼品)の準備
会食35万円通夜振るまい(通夜の後)、
精進落とし(葬儀の後)
お布施45万円戒名、納棺式、通夜、葬儀、
初七日法要、御膳代、お車代
総額200万円
参列者50名クラスの例